​モンテッソーリ教育とは

昨今日本でもモンテッソーリ教育を取り入れる園が加速的に増え、ここオーストラリア・ブリスベン現地のモンテッソーリ園もいくつもある中、その教育の特徴、根本理念について訊かれることが多くあります。

​私が日本での大学生の頃から、また欧州で勉強する中で目の当たりにし、驚き深く感銘を受けたその教育の子どもの姿は、このようなものでした。

モンテッソーリ園の子どもたちは、自ら選んだ活動に集中して取り組み、教師は常に静かに子どもたちを見守ります。今子どもが何をしようとしているのか、その活動のどういう段階にあるのかを観察し、決して必要以上に声を掛けたり褒めたり、完成に導くための早道を教えたりはしません。子どもは何度もうまくいかなくても自分で考えながら繰り返し、満足いくまで向き合います。そしてお互いに助け合いながら、自立して自分たちの生活、活動を生き生きと楽しみます。その温かい雰囲気、皆で作り出す調和のなかで、小さな子どもたちによる不思議な力に満ちた、平和な時間がゆっくりと流れていきます。

それは、その教育理念の中心にある、「子どもは一人一人の内にすばらしい成長への力を持って生まれてくる。大人はその力を信頼し尊敬の念をもって見守り、なるべく邪魔をせず、その驚くべき力による自発的な学びのための適切な手助けをする。そのために、子どもの絶え間ない成長への欲求が満たされるための自由が保障された環境を、常に細心の注意を払って整える」ということによって自然に現れる、子どもたちの姿でした。

モンテッソーリ教育の目指すものは、全人格的な成長です。そしてその教育は国や文化を越え世界中で引き継がれ、日々新たな発見を続けています。

 

イタリアで初めての女性医師でもあったマリア・モンテッソーリは、脳科学的・発達心理学・教育学的な見地から、子どもの発達段階に応じた教具を考案し、小さな「子どもの家」(Casa dei Bambini) を開きました。そこでの毎日のなかで子ども本来の姿を深く洞察し多くの発見をし、それらのことについてはモンテッソーリの著書の中でも繰り返し述べられています。

その中には例えば、子どもには敏感期(Sensitive Periods)、つまりある能力を獲得するために感受性が高まる一定期間があること、そして子どもは独特の、周囲の環境からあらゆるものを吸収する精神 (Absorbent Mind)をもっていること、などがあります。乳児期の心と身体の調和から始まり、幼少期を経て高い次元への成長に至るまで、子どもの成長を見守り支えるうえで親としても知っておきたいことが数多くあります。

時に、モンテッソーリ教育における自由、そして社会性の発達について訊かれることがあります。その自由とは、何でもしてよいという自由では、ありません。その教育において、自ら選んだ活動に真に集中できる時間を持つこと、そして友達との生活の中で互いに学び合えることは大変大切に考えられており、そのためには、お互いを尊重し合い、友達の集中した学びの妨げとなるような行為はしないよう常に周囲への配慮をする必要があります。そしてお互いを高めあい学び合える関係を作っていけるよう、教師は常によく観察し働きかけています。そのような関係を日々の生活と学びの中で築いていけることは、良い人間関係を構築していくという将来に至るまでの大切な一面に大きく寄与することは、実感していただけることと思います。

実際に私が共に過ごした子どもたちの、クラスの友達との関わりのうえでの驚くような成長には、心が揺さぶられることが度々あり、今も日々感動することの連続です。それはモンテッソーリ自身が最初の「子どもの家」で発見したことと多く重なることでもありました。

子どもは日々の安心できる環境のなかで、自ら選んだ活動を楽しみ集中して取り組むことにより、本人が本来持っている一番良い面を現し、自立心や内面的規律を自分のものとしていきます。そうして成長への欲求が満たされて、自信、自己信頼感で満たされることにより、その愛に満ちた温かい気持ちは、他の友達をも大切にしたい、手助けしたい、という思いとして自然に外に向かっていくのです。そうして、自分たちの生活と学びの場において、友達とのコミュニケーションを深めながら、一人一人自立した人格として互いを尊敬し学びあえる時間を、創っていきます。

 

お子さんの人格形成の基礎となる幼少期からの教育の重要さに対する認識は高まるなか、どのような教育がお子さんにとってベストかということは皆さんお考えで、ご家庭でも様々なことを既になさっていることと思います。私自身、教育や子育てを通して、その時期の子どもが日々過ごす環境の重要さ、その中での大人の関わり方、働きかけ方の大切さは日々実感し続けています。幼児期・学童期に日々築かれた基礎は、小学校そして中学以降も生涯にわたる学びに対する意欲、自立し自信を持って自ら学び続けていく力と、人間的な成長に大きく影響するものです。その場ごとの学習に捉われすぎず、そのような長期的な全人的成長を目指すということが、モンテッソーリ教育の根本の大切なものとしてあります。

 

自信と温かい心で満たされたお子さんは、ご家族や友達、更に広い世界の中で平和への架け橋となり、私たちを輝かしい未来へと導いてくれる、というのは冒頭にも掲載しましたモンテッソーリの言葉でも述べられた通りです。お子さんたちが日々生き生きと過ごせる環境の中で、そのためのお役に立てることを、願っています。

 

モンテッソーリ教育の5つの領域

5 areas or Montessori Education

 日常生活の練習

 感覚教具

 数

 言語

 文化